○広島県公立大学法人知的財産ポリシー
平成20年9月17日
法人規程第4号
はじめに
広島県公立大学法人は、地域や国際社会に貢献する知の創造、応用及び蓄積を図る知的活動の拠点として、主体的に考え、行動し、地域社会で活躍できる実践力のある人材及び社会を俯瞰する視野を持ち、他者との協働のもと、新たな価値を創出し、新しい時代を切り開いていく人材を育成するとともに、高度な研究を行い、もって地域社会はもとより、国際社会に広く貢献することを目的としている。
特に、本法人の知的活動の成果を地域に効果的に還元していくためには、知的な財産の管理?運用や社会との連携を組織的に行うとともに、公立大学法人化後の財務体質の強化と自律的な運営に資するよう積極的な取組が求められている。
このため、このポリシーでは、研究者等が行った発明等の取扱いについて、基本的な考え方を明らかにすることにより、発明者としての権利の保障、研究者等の発明意欲の向上及び発明等の効果的な活用を図ることとし、そのための取るべき基本的事項と指針を示す。
また、本法人における知的財産に係る業務を、学内外からより分かりやすく行うため、県立広島大学においては、全学的な統括機能を持つ知的財産本部を地域連携センター内に設置する。また、叡啓大学においては、産学官連携?研究推進センターがその業務を行う。
1 本ポリシーの適用対象者
本ポリシーの適用対象者は、広島県公立大学法人(以下「法人」という。)の役員、職員、客員教授及び客員研究員など、法人と契約して、本ポリシーに沿った産学官連携活動を行う者(以下「職員等」という。)とする。
なお、県立広島大学及び叡啓大学(以下「大学」という。)の学生は、基本的には本ポリシーの適用対象外であるが、学生に、職員等の指導の下で行った発明等が生じた場合には、当該学生も適用対象者とする。
2 知的財産の取扱い
(1) 本ポリシーが対象とする知的財産
大学から創出される知的財産は、多岐にわたるが、本ポリシーでは、次のものを対象とする。
①特許権の対象となる発明、実用新案権の対象となる考案、意匠権の対象となる意匠及び商標法の対象となる商標
②データベース、プログラム及びデジタルコンテンツ(論文?著書?報告書を除く。)のうち発明等に関連するもの及び有償で利用許諾されるもの
③半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和60年法律第43号)に規定する回路配置利用権
④種苗法(平成10年法律第83号)に規定する育成者権等
⑤特許等として保護しない情報のうち、秘匿可能な技術情報で財産価値を有するノウハウ
⑥研究開発に際して創作し、又は取得された成果有体物
(2) 職務発明等による知的財産の帰属等
ア 帰属
法人は、知的財産の創出、保護及び活用について組織的に取り組み、社会貢献の実をあげるため、職員等が職務上の発明(以下「職務発明等」という。)により知的財産を創出した場合は、その知的財産に係る権利(以下「知的財産権」という。)は原則として法人に帰属するものとする。
なお、職務発明等とは、法人(大学)の資金、施設、設備その他の資源を使用して行った研究から生じた発明等とする。
イ 発明等の届け出
職員等は、別に定める広島県公立大学法人知的財産権取扱規程(平成19年法人規程第68号)の規定により、職務発明等について、速やかに理事長宛てに届け出なければならない。
ウ 職務発明等の認定
知的財産が職務発明等によるものか否かについては、法令や法人の規程等に基づき、発明委員会の審議を経て理事長が認定する。
エ 出願及び権利の承継
発明等の保護のためには多くの発明等が出願されることが望ましいが、権利の取得?維持には費用が必要とされる。したがって、法人としての発明等の出願の可否は、その権利化の可能性や社会への貢献可能性のみならず、市場性、権利化と維持の費用などを総合的に勘案する発明委員会の審議を経て、理事長が決定する。法人として出願することが決まった発明等については、その権利を発明者から承継する。法人が権利を承継しないと判断した発明等については、当該権利の発明者への帰属を認め、その旨を発明者本人に通知する。
オ 発明者に対する補償
法人は、発明者から発明等に係る権利を承継した場合には、法人の規程等に基づき、発明者に対し承継補償金を支払う。
また、知的財産により法人が発明等に関連して収益を得た場合には、法人の規程等に基づき、発明者に対し実施補償金を支払う。
(3) 産学官連携活動で創出された知的財産に係る権利の帰属
学外との連携活動で創出された知的財産の権利の帰属は、大学又は連携先の外部機関等が、それぞれ連携活動と無関係に知的財産を創作したことが明らかな場合を除き、双方の共有を原則とする。持分等の実際の条件設定の際には、法令、法人の規程及び契約内容などに基づくほか、双方で当該知的財産の内容を十分に吟味し、協議するものとする。
(4) 権利の放棄
理事長は、法人が保有する知的財産権のうち、技術移転の見込みがない等の理由により、法人として保有する必要がないものについて、当該権利の放棄を、発明委員会の審議を経て決定することができる。
法人が放棄した後の当該権利の取扱いについては、あらかじめ当該発明者と協議の上、理事長が定める。
3 知的財産の発掘?活用
(1) シーズの発掘
本法人には職員の永年にわたる研究成果としての知的集積がある。今後、この集積が特許等の技術移転可能な具体的な知的財産となるよう、県立広島大学においては知的財産本部が、叡啓大学においては産学官連携?研究推進センターが大学全般の研究シーズを主体的に発掘するとともに、研究成果の知的財産権化を援助する。
(2) 技術移転の推進
大学における研究成果を民間企業等に積極的に技術移転し、研究成果の普及及びその活用の促進を図り社会に貢献する。より効率的な技術移転活動を進めるため、学外の技術移転機関等と協力する。また、JST等の全国的なネットワークを積極的に活用する。
(3) 共同研究、受託研究の促進
本学の研究者等が生み出した知的財産の利用価値を上げるため、企業との共同研究及び受託研究の促進を図る。共同研究及び受託研究から生じた知的財産の取扱いについては、社会への貢献を最大限重視する観点から、柔軟かつ効果的に特許の優先実施権、特許権の譲渡、専用実施権等に対応する。
(4) 知的財産についての啓発?研修
県立広島大学の知的財産本部及び叡啓大学の産学官連携?研究推進センターは、職員の知的財産に関する意識と知識の向上を図るべく、講演?研修?実施指導等を行う。
4 守秘義務
学内の研究に携わった職員等、発明等内容を審議した発明委員会の委員及び出席者その他研究に関係した者は、学生を含めて、未公開の研究成果等についての守秘義務を負う。
特に学外の第三者との契約に基づく共同研究又は受託研究に従事する者は、契約時に守秘義務を定めた契約を締結し、契約事務に携わった職員を含め、上記守秘義務を負う。
本ポリシーの対象外となる学生等については、指導する教員等が秘密保持についての誓約書を学生等から提出させるなど、秘密保持のための適切な措置を講ずるものとする。
5 本ポリシー具体化のための関連規程等
本ポリシーに基づく具体的な手続等は、次の法人規程等で別に定める。
6 ポリシー具体化のための体制
(1) 産学官連携活動には全ての関係者が前向きに取り組まなければならないが、本ポリシーを管理し連携活動を統括する業務は、県立広島大学においては地域連携センター知的財産本部が、叡啓大学においては産学官連携?研究推進センターがこれを担当する。個々の知的財産権の帰属の決定、審査請求等については、発明委員会での審議を経て理事長が決定するものとする。
(2) 発明委員会は、法令、法人及び大学の諸規程、本ポリシー等に基づき、知的財産の管理に必要な事項を定める。
7 利益相反?責務相反
知的財産の活用を積極的に図るため、大学の研究者等は、産学官連携活動に従事する場合は、各自の責任の下広島県公立大学法人利益相反ポリシー(平成19年法人規程第110号)に従って行動し、法人及び大学は、研究者の活動を支援するとともに社会に対する説明責任を果たす。
附則
本ポリシーは、平成20年9月17日より適用する。
附則(平成31年法人規程第6号)
本ポリシーは、平成31年4月1日より適用する。
附則(中国足彩网3年法人規程第122号)
本ポリシーは、中国足彩网3年7月1日より適用する。