山本研究室の卒業生(大学院修士課程修了)である大塚健司君の研究論文が、下記の通り国際誌Food Science and Technology Researchに受理されました。これは、当学科の甲村研究室との共同研究です。
著者:Kenji Otsuka, Hiroyuki Kohmura, Yukihiro Yamamoto.
タイトル:Physiological effects of Asparagus officinalis L. fruit extracts: inhibition of α-amylase, α-glucosidase, lipase and angiotensin-I converting enzyme, and effects on 3T3-L1 preadipocyte/adipocyte. (2023年7月24日受理)
普段私たちが食しているアスパラガスは、土から生えて間もない20 cm程度の茎の部分です。収穫しないと、どんどん大きくなり、やがて赤い実がなります(写真1)。しかし、大きく成長したアスパラガス(写真2)は、実も含めてほとんどが廃棄されています。我々は、こうしたアスパラガスについて、何か有効利用できないかと考え、まずは実に注目しました。そして、実の抽出物を調製し、これがなんらかの生理機能性を有していないか調べてみました。
その結果、実の抽出物は、色々と魅力的な生理機能を有していることがわかりました。例えば、脂肪細胞を用いた実験では、脂肪の蓄積を抑制することがわかりました。さらに、抽出物のなかには、ルテオリンという物質が含まれていて、これが一部有効成分として作用していることが示唆されました。
このように、普段廃棄されているアスパラガスの実が、なんと生活習慣病の予防に向けた商品開発の素材として期待できることがわかりました。
写真1. アスパラガスの赤い実。これらを実験試料として抽出物を調製し、機能性評価の実験をしました。
写真2. アスパラガスはこのように成長します。収穫後は実も含めてほとんど廃棄されているのが現状です。(写真は甲村教授提供)