ぶらり途中下車の旅 ~先輩編~
友田直哉(ともた なおや)さん
保健福祉学部 作業療法学科
2021年卒業生
中国足彩网3年4月から保健福祉学部 保健福祉学科 作業療法学コース
(広島県 出身)
- インタビュー日
- 2022.2.23
- インタビュアー
- りほ
- インタビュイー
- 友田直哉(ともた なおや)さん
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では早速インタビューを始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、友田さんが作業療法士を目指されたきっかけ、また県立広島大学(以下、県広)に入学された理由についてお聞かせください。
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まず作業療法士になりたいと思ったきっかけは、自分の親戚で発達障害のある子と出会ったことでした。その子のご両親が理学療法士、作業療法士だったということもあり、リハビリテーション職、中でも作業療法士に興味を持ちました。
高校生の時は広島県から出るということを考えていなかったので、県内の色々な養成校を見る中で、県広の作業療法学科はとても楽しそうな授業や雰囲気だなぁと感じ、入学したいなと思いました。
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なるほど。作業療法学科の楽しそうな雰囲気というのは、実際にオープンキャンパス等に参加されて感じられたんですか?
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そうですね。オープンキャンパスでの授業体験や、作業療法学科の方にお話を伺う中で感じましたね。
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ありがとうございます。やはり、実際に行ってみるというのは非常に大切ですよね。
ホームページを見るだけでは分からないことも多いんじゃないかなと思います。
私自身も高校生の時に県広のオープンキャンパスに参加しましたが、在学生の方はもちろん、学科の先生ともざっくばらんにお話しさせていただいて、大変参考になりました。
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そうですよね。当時は、実際の授業に参加させてもらえるという企画があったんです。
その時の授業の様子や雰囲気を知ることができたのは良かったなと思います。
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それはとても良いですね。
では、次は県広に在学中のお話をお伺いしたいと思います。
友田さんが作業療法学科で4年間学ばれた中で、印象に残っていることや県広で学べて良かったと思われることがあれば、ぜひ教えてください。
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ありきたりになってしまうかもしれませんが…(笑)
大学4年生の時に、中国足彩网感染症の影響で実習がなくなってしまったことが、1番衝撃的で印象に残っています。当時は誰も経験したことがないことで、この先どうなるか分からない、実習に行かなくても資格は取れるのか、また実習に行かずに臨床に出ても良いのかなど、様々な不安がありましたね。
そんな中で、「このままじゃまずい」という危機感を感じて、SNSを活用して学外の方とコミュニケーションを取って、オンラインでお話しさせていただくという経験をしました。これは、コロナ禍という環境の中で、自分で今できることはないかと考えて行動したことの1つで、そのつながりを通して県広の特徴や魅力を改めて感じることもできました。また、様々な人と関わって色々な考え方に触れることができ、大変勉強になりました。
でも、やはり大学1~3年生の時の大学内での交流も、とても思い出深いですね。
僕たちの学年はとても仲が良くて、1年生の時にはみんなで服装をそろえて盛り上がったこともありましたね。(笑)
そういう意味でも、非常に濃い大学生活だったなと思います。
そんな県広の良いなと思うところは、学生と先生との距離がすごく近いところですかね。気軽に質問できますし、質問したら何でも答えて下さいます。
あとは、広島県内のコミュニティに強いなと思います。例えば、僕が在学中に大雨による洪水などの災害があった時には、先生方や学生がボランティアとして現地に行かせていただくこともありました。そのような経験を通して、地域との密なつながりを感じましたし、お互いに支え合って県広で学ばせていただいているんだと実感しましたね。
また、作業療法学科は良い意味で偏っているところですかね(笑)
日本ではこれまで病院の中にいる作業療法士が多く、どちらかと言うと機能を回復させることを目的にリハビリをしていることが多かったんです。一方で、県広の作業療法学科は機能を見るのではなくて、その人が何をしたいのかという「作業」を先に見て、そこから逆算して介入するという、作業療法の基礎的な部分や理論についてしっかり学ばせていただいたなと思います。例えば、片麻痺の方が「料理をしたい」と思われる場合には、「料理をする」という目標を達成するためにはどうすれば良いかと逆算して介入していくという感じです。この考え方は、今でも僕の中の強みとして持っているものでもあります。
他の養成校出身の作業療法士の中には、幅広い作業療法に関わる中で「作業療法って何なのか分からなくなる」と話される方も少なくありません。ただ、僕としてはあまりそのような悩みは持っていなくて。それは、県広で「作業療法とはこんなもの」というのをしっかり学べたお陰かなと感じています。
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作業療法とは何なのか、決して単純な問いではないからこそ、自分の中で答えを出すのは難しいですよね。
私自身も、「言語聴覚療法って何だろう」「対象者の方にとって、機能回復と同じくらい優先順位の高いものは他にないか」などの視点は、病院実習を通して改めて考えさせられましたし、きっとこれは大学の座学だけでは気づけなかった視点だなと思っています。
臨床に出ると、もちろん機能回復に関わる視点も重要だと思いますが、それ以外にどれだけ多角的に対象者の方を捉えられるかという視点が求められることもあるのではないかなと思いますね。
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りほさんがおっしゃる通り、機能回復の考え方ももちろん大切だと思います。ただ、作業療法という枠組みの中でも、急性期や回復期、また地域などそれぞれの場所によっても、機能回復と先ほどお話ししたようなトップダウンアプローチの考え方のバランスは異なると思うので、それらのベストなバランスを探していくのが良いのかなと思います。
また、理学療法と作業療法の違いをよく問われるかと思いますが、それぞれボトムアップとトップダウンという異なる視点で対象者の方を捉えているという意味では、どちらが良いということではなく、お互いの視点を参考にしながらアプローチしていくことが重要だと思いますね。
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そうですね、友田さんのおっしゃる通りだと思います。
そういった意味でも、やはり「多職種連携」の考え方はとても大切だと感じます。お互いがどのような視点で、どのような目標を持ってアプローチをしているのか、それによる相乗効果はあるのかなど、それぞれが情報を共有し合うことで実践されている多職種連携というのを病院実習で目の当たりにして、とても衝撃を受けました。
例えば廊下ですれ違ったほんの5秒程度の時間に、「〇〇さん、~だったよ」「今度行く時、△△さんのここ見ておいてほしい」などとやり取りをされる病院の先生方の姿を見て、「現場での多職種連携の形ってこうなのかもしれない」と感じました。
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確かに、学校で習う教科書ベースの多職種連携は、みんなで机に座って会議をするようなイメージを持ちがちかもしれませんね。りほさんのおっしゃる通り、「すれ違いの5秒」はめちゃめちゃ大事ですね(笑)今の話を聞いて、現場ではそういうことよくやってるなぁと思いました。
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そうなんです!おそらく現場の方は、そのような歩きながらの情報共有も日常的なことだと思うんですが、初めて病院実習に行った学生としては「この5秒で!?」というような驚きがありましたね。カンファレンスのような形の場所でなくても、多職種でのこまめなコミュニケーションや情報共有は非常に重要だなと思いました。
では、次の質問に移らせていただきます。
友田さんは現在、大阪発達総合療育センターにご勤務ということですが、実際に作業療法士として働かれる中で、県広で学んだことで今に活きているなと感じられることはありますか?
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まず、僕の働いている病院は少し特徴的で、「ボバースコンセプト」というアプローチ方法、考え方を大切にしているんです。これは、イギリス発祥のもので、ボバース夫妻という方々が考えたアプローチ、コンセプト、考え方です。すごく割愛して話すと、これまでの歴史の流れで、アプローチの中には実際に対象者に触れることで症状を解消するというような、いわゆるハンドリング?手技というのがほんの一部にあったりして。ただ、その手技が先行しすぎていることで、エビデンス(根拠)が重要視され始めた現在では、ボバースコンセプトについて批判の声があることも事実です。そのような考え方がベースにある大阪発達総合療育センターは、どちらかというとボトムアップ的な視点が強い病院かなと入職当初は思っていました。
しかし、いざ実際に入職してみると、機能回復ではなくて、トップダウンの視点も非常に強く、ボバースコンセプトについても、支援者みんなで対象者を良くしていきましょうというような「チームアプローチ」や「24時間コンセプト」などがあることを知りました。自分が介入する1時間だけではなく、それ以外の時間も多職種と連携して24時間?365日を通して対象者を支援しようという考え方がすごく素敵だなと思いました。
また、僕がやりたい作業療法?リハビリも、対象者の方が地域社会で生活していくためにどんなことをしていこうという考え方のもとでやりたいと思っていたので、それも非常に病院の考え方とマッチしていたので就職を決めました。
すみません、すごく話がズレてしまったんですが…?
本題に戻ると、就職して感じたこととしては、大阪発達総合療育センターはボトムアップ的な強さはある一方で、トップダウン的な視点については、他の作業療法士さんも知ってはいるものの、「作業科学」という作業の理論や「人間作業モデル」、「AMPS(Assessment of Motor and Process Skills)」など、作業療法の考え方のような理論を学ばれている方というのは少ないのかなという印象です。
ただ、僕はそういう考え方を県広で学んだことによって、作業療法って何だとか、作業療法はどういう風に介入をしていけば良いかなど、ある程度自分の軸を持って日々働けているというのは非常に良かったなと思いますね。
(※ボバースコンセプトについての詳細はこちら)
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ありがとうございます。
理論のような内容については、私たちコミュニケーション障害学科であれば1,2年生で習ったように記憶しています。一方で、そういった理論ベースの話は、後から学習する様々な疾患や障害等に関わる膨大な情報量によってかき消されがちかなと思うんです。
ただそうすると、友田先生がおっしゃった通り、学年が上がるにつれて「作業療法って何だろう」「言語聴覚療法って何だろう」「自分が目指す職種が提供できる価値って何だろう」といった根本的な問いにぶつかる人も少なくないんじゃないかなと思います。
だからこそ、理論ベースのことを学んでいる時は、正直あんまり面白くないなとか、よく分からないなと思うこともあるかもしれませんが、今実際に学ばれている在学生やこれから学ばれる方は、ぜひ自分なりの楽しめるポイントを見つけて、自分の考え方の土台作りに活かしていただきたいですね。
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僕も今理論の話をたくさんしましたが、「作業療法理論」を学んでいた大学1年生の時は、「僕が学びたいのはこれじゃない!」とすごく思ってました(笑)
理論とか哲学的な部分って答えがないからこそ、自分の中で答えを求めてしまっていたり、それよりも臨床というか実際の作業療法を知りたいと思ったりしていましたね。
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それは少し意外ですね(笑)
では、そんな風に学生時代は理論についてあまり前向きではなかった友田さんが、やっぱり理論って大事だなという現在の考え方に変わられたきっかけや転機というのは何だったんでしょうか?
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それは「外の視点を知ったこと」ですかね。というのも、先ほどお話ししたように、コロナ禍で学外の方とお話しする機会が増えたことで、「自分が学んでいることってめちゃめちゃ重要じゃないか」と感じるようになりました。
また、県広には吉川ひろみ先生がいらっしゃるんですが、理論に精通されている、トップランナーとしてご活躍されている方で、そんな先生から直接学ぶことができる環境ってすごいことなんだなと気づけたのというのも大きかったです。
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なるほど、ありがとうございます。
私は他の職種を目指す学生や一般の方からよく「言語聴覚士ってどんなことをしているの?」と聞かれるんですが、そこで大切なのは専門的な用語や知識というよりも、大まかにこういう職種だよっていう全体像を伝えることだと思うんです。その時にしっかりと理論がベースにあると、患者様や一般の方にもより伝わりやすいと思いますし、いかに理論を自分の中に落とし込めているかというのはとても大切だと思います。
なので、友田さんのように理論の重要性に気づくきっかけというのは人それぞれだと思いますが、何らかきっかけがあると良いなと思いますね。
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「作業療法は手のリハビリだよ」のように説明される方も少なくないかなと思うんですが、今りほさんのお話を聞いて、自分が作業療法とは何かということを考えたり突き詰めたりすることで、相手に合わせた自分なりの作業療法を説明できるのかなと思いました。
例えば、ある方には「あなたの人生をサポートするのが作業療法です」と言ったり、またある方には「生活の中のADL(日常生活動作)面をお手伝いするのが作業療法士です」と言ったり、心のケアの面から「あなたと対等な立場でお話しするのが作業療法士なので、何かあったらいつでも相談してくださいね」と言ったり、作業療法をどんな色にも染める説明ができるかなと思います。そういった意味でも、理論をベースに持っておくというのは大切だと感じますし、自分が作業療法士なのでそこはしっかりと知っておくべきなんじゃないかなと思います。
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ありがとうございます。
友田さんのお話を伺って、私もまだまだ言語聴覚療法についての理解が不十分かもしれないなと感じたので、これからまたしっかり考えていきたいなと思います。
では、次の質問に移らせていただきます。
友田さんが今作業療法士として働かれている中で、大切にされている考え方や意識されていることがあればぜひ教えてください。
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うちのセンターに来られる方の特徴として、肢体不自由の方、身体障害を抱える方を中心に、知的障害や精神面の障害など様々な障害を抱えた方が多いです。その中でも話してコミュニケーションを取ることが難しい方も少なくありません。入職当初は、そういう方々とどうやってコミュニケーションを取ったら良いんだろうと思っていました。
そんな中で僕が大切にしていることは、言葉だけのコミュニケーションではなく、心と心での会話です。話すことができないという中で、その方の表情やまばたき、手の握りや手汗、心拍数、脈などの変化を読み取って、「今何考えてるのかな」とか「今はダメなんだ」とかっていうのを感じ取ってあげるというのはとても大切だなと思います。相手が話せないからと言って、こちらも何も話しかけずに介入するのでなく、相手が話せないからこそ、こちらから話しかけて相手の反応を読み取ったり、それを踏まえて問いかけたりというのがすごく大切だと思うし、これからも意識していかないとなと思っています。
あとは、僕は18歳までのお子さんと関わる機会が多いんですが、そうなると一緒にいらっしゃる保護者の方とのコミュニケーションや信頼関係の構築もすごく大事になってきます。
そうなった時に、保護者の方との上手な関係性づくりも必要ですが、お子さんの将来を考えた関わりも必要なんですね。なので、保護者の方の「これがしたい!」というのを鵜呑みにするのではなく、その子に対してこれをすることによって将来的にどうなるのかという点についても、保護者の方にしっかりとお伝えしていかないといけない職業かなと思いながら日々関わっています。
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そうですね。ありがとうございます。
実は、今回友田さんにぜひお伺いしたいと思っていたことがありまして。
私は今小児領域に興味があって、その中でも友田さんがおっしゃった「保護者の方との関わり」に興味があるんです。
対象者の方だけではなく、対象者の周りの方々とコミュニケーションを取ることって、実際には非常に難しい部分もあるんじゃないかなと思うんですが、普段友田さんが保護者の方と関わられる中で意識されていることってありますか?
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うーん、何でしょう…雑談かな。(笑)
お子さんのことを通して、「この子の好きなこと何ですか?」「この子のやりたいことは?」っていう風に聞くというのはもちろんなんですが、保護者の方との適度な距離を目指して関わる中では、保護者の方自身のことについて聞いたり敬ったりすることもとても大切だと思っています。「お仕事はどんなことをされているんですか?」「それは大変ですよね」といった感じで、お子さんだけでなく保護者の方にも興味があります!という気持ちを伝えることで、僕らしさだったり何か悩みを打ち明けていただけたりするような雰囲気づくりを心がけています。
やはり子どもを育てるには、育てていく側が健康でないと子どもも育っていかないかなと思うので、「生活大変じゃないですか?」「何か楽しいことはありますか?」「息抜きとかしてますか?」っていうことを聞く中で、保護者の方の生活状況や背景も探りながら距離を近づけていくっていうのは意識していますね。
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なるほど。
すみません、追加で1つ質問よろしいですか?(笑)
現時点で小児領域に興味はあるんですが、不安に思っている要素があるんです。特に卒業後すぐはどう頑張っても新人ですし、ましてや自分は子育ての経験も全く無いという中で、対象者の保護者の方に何かお伺いしたり、時には情報や意見を提供したりするということに対して、本当に良いんだろうか?とモヤモヤしていて。
1人のセラピストとして関わらせていただくにあたって、特に若手の時のスタンスや、保護者の方との上手な関わり方ってどんな風なんだろう?というのが気になります。
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そうですよね。僕も保護者の方に「はじめまして!」と入っていって、「何年目なんですか?」という質問が来たらヴッてなるんです…(笑)
ただ、やはり経験年数というのは変えようのないところなので、セラピーできているかは分からないけどお子さんが楽しんでいる表情を大切にすると、「この人とセラピーしてたら、子どもがすごく楽しそう!」「この時間良いじゃん!」と思っていただけて、その結果保護者の方の心をつかめるのかなと思いますね。
また、利用者さんに来ていただいて、こちらが専門家として教えるっていうスタンスになってしまいがちだと思うんですが、そのお子さんと1番長く関わっているのは保護者の方であり、お子さんのことを1番よく知っているのは保護者の方なので、こっちが教えてもらうという立場で、例えば、癇癪を起こしてワ―ッとなっている時に、「こういう時、どう対応されてるんですか?」っていう風に聞いてみるというようなことはよくあります。
その上で、専門家の視点として「こうだと思いますよ」っていうこともしっかりとお伝えするという感じですかね。
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なるほど、ありがとうございます。
今の友田さんのお話で大切だなと思ったポイントが2つあって。
1つ目は、経験年数が長いセラピストと自分が同じだと思わないこと。やはり経験年数が長い方と同じようには当然できないので、自分はまだまだ学び途中だという視点で保護者の方と関わるのは大切だなと思いました。
2つ目は、保護者の方を「対象のお子様の延長線上にいる方」と捉えるから、変に難しくなってしまっているのかなということです。もちろん、対象者の方と対象者のご家族の方とでは違うアプローチが必要なこともあると思いますが、自分よりも年上の方と関わるという意味では、対象者である高齢者と対象者であるお子様の保護者の方とで自分が気を付けなければならないこと、つまり言葉遣いや所作、話の構成などは変わらないんじゃないかなと思いました。お子様をハブに保護者の方と関わるのではなく、お子様と保護者の方とをそれぞれ1人の人だときちんと区別して関わることも時には必要なのかなと思います。
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本当にその通りだと思います。
りほさんのお話がまとまり過ぎてて、僕は何も言うことがないです(笑)
コミュニケーションを取っていく上で、周りの資源、自分の置かれている環境を上手く使うっていうのは大事かなと思っていて。
若手は若手、ベテランはベテランなので、「自分が言ってもこの保護者の方には響かないなぁ」という時には、ベテランの方にお願いして、自分が言ったことと同じことであってもその方から改めて説明していただくことで保護者の方に納得していただけるということもあります。自分1人で何でもやろうとするのではなく、周りを上手く使うことも必要だと思いますね。
ただ、その時に「もうお願いしたからいいや」って思ってしまったらそこまでだと思っているので、僕は自分の説明でどの部分が足りなかったかなとか、どんな風に説明したらもっと納得してもらえたかなっていうのを考えたり、工夫したりするようにはしています。
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そうですよね。ベテランの方と自分を比較して、どういうところが違うのか、たった一言かもしれないけどこのワードがあるともっと納得していただけたかもしれない、というような気づきを得るという意味でも、お願いしっぱなしにしないというのは大切ですね。
私も他の方の良いなと思うことは、小さいことでも盗んで自分のものにしていきたいです。
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そうですね。
うちのセンターはPTもOTも全体でセラピーをしていることも多いので、他の人のセラピストさんの様子を見て、楽しんだり自分の引き出しにしたりしています。
先日、僕の上司が「若手は自分の中で引き出しがないから、これをするってなったらこれしかできないし、ちょっとイヤって言われた時に対処ができない。結局、自分の出来る範囲に強引に子どもを持っていきがち。だからつまらないし、面白くないんだ。」ということを言われていました。「こっちに逸れるんだったら、Bプランね、Cプランね」というように柔軟に対応できたら、その子にも合わせつつ自分のやりたいこともできるという意味で大切なのかなと思いました。
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なるほど。友田さんがおっしゃったように、BプランやCプランなど複数の選択肢を作っておくためには、事前に色々な可能性を想定する力が必要で、まずはそのための知識やイメージ力を身につけることが必要だなと感じました。
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うんうん。
あとは、自分が楽しむっていうのも大事なのかなと思います。自分がやってて楽しいかどうかっていう視点ですね。やはりそういう雰囲気って子どもに直接伝わるのかなと思うので、こちらがめちゃめちゃ楽しい表情を見せることで、「これって最初はつまんないと思ってたけど、この人がめっちゃ笑ってるってことは楽しいのかな?」みたいに、子どもに錯覚させるような意味でも必要なことかなと思いますね。
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そうですね。
そういう楽しみの表現については、小児と成人で少し違う部分もあるかもしれないですね。
では、次の質問に移らせていただきます。
友田さんの今後の目標やご展望について、作業療法士としてだけでなく、友田さんご自身の人生設計のようなものがあれば教えてください。
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他の方みたいに明確にはないんですが、ずっと子どもに関わっていきたいなと考えています。作業療法で子どもと関わっていきながら、今は病院にいるんですが、最終的にはその子たちが生活している地域社会の中に出て行って、子どもたちと一緒に生きていく、子どもたちの困難や難しさを支援していけると良いなと思っていますね。
その中で、大学院への進学や病院外での活動を通して、自分の中の知識やボキャブラリーといった資源を増やしながら、今後の人生を歩んでいけたらなと思います。
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ありがとうございます。
私も将来的には自分から地域に出て関わっていけるような言語聴覚士になりたいと思います。
本日は貴重なお話をいただき、本当にありがとうございました!
インタビューを終えて
今回の友田さんのインタビューを通じて、作業療法士という職種や小児領域の奥深さを改めて感じました。
職種や環境によっても異なる、トップダウン?ボトムアップといった視点や様々な考え方についても、しっかりと自分の軸を持った上で触れることで、また新しく見えてくるものがあるようにも思いました。
この度は、ご多忙の中インタビューにご協力いただき、本当にありがとうございました。
友田直哉(ともた なおや)さん
県立広島大学 保健福祉学部 作業療法学科 2021年卒業生
広島県出身
2017年4月 | 県立広島大学に入学。 |
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2021年4月 | 大阪発達総合療育センターに入職。 |